「日本遺産(Japan Heritage)」は、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリー(物語)を「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定するものです。
そのストーリーを語る上で欠かせない魅力ある有形・無形の文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけではなく海外へも戦略的に発信していくことで、地域の活性化を図ることを目的としています。
2件のストーリーの概要は、次のとおりです。
磐梯山信仰を取り込み東北地方で最も早く仏教文化が花開いた会津は、今も平安初期から中世、近世の仏像や寺院が多く残り「仏都会津」とよばれる。その中でも三十三観音巡りは、古来のおおらかな信仰の姿を今に残し、広く会津の人々に親しまれている。会津藩祖 名君保科正之が定めた会津三十三観音巡りは広く領民に受け入れられ、のちに様々な三十三観音がつくられた。会津の三十三観音は、国宝を蔵する寺院から山中に佇むひなびた石仏までいたるところにその姿をとどめており、これら三十三観音を巡った道を、道中の宿場や門前町で一服しながらたどることで、往時の会津の人々のおおらかな信仰と娯楽を追体験することができる。
【猪苗代町関連の構成文化財】
・猪苗代三十三観音
・観音寺宝篋印塔(かんのんじほうきょういんとう・県指定重要文化財)
・安穏寺銅造阿弥陀如来立像(あんのんじどうぞうあみだにょらいりゅうぞう・国指定重要美術品)
明治維新後、武士の救済と新産業による近代化を進めるため、安積地方の開拓に並々ならぬ想いを抱いていた大久保利通。夢半ばで倒れた彼の想いは、郡山から西の天空にある猪苗代湖より水を引く「安積開拓・安積疏水開さく事業」で実現した。奥羽山脈を突き抜ける「一本の水路」は、外国の最新技術の導入、そしてこの地域と全国から人・物・技を結集し、苦難を乗り越え完成した。この事業は、猪苗代湖の水を治め、米や鯉など食文化を一層豊かにし、さらには水力発電による紡績等の新たな産業の発展をもたらした。未来を拓いた「一本の水路」は、多様性と調和し共生する風土と、開拓者の未来を想う心、その想いが込められた桜とともに、今なおこの地に受け継がれている。
【猪苗代町関連の構成文化財】
・猪苗代湖
・十六橋水門(戸ノ口)