○猪苗代町議会基本条例
令和五年十二月二十二日
条例第十九号
(前文)
平成十二年四月に施行された地方分権一括法による機関委任事務の廃止により、すべての自治体の自己責任と自己決定の範囲が拡大した。
このような中、二元代表制の一翼である議会が担うべき行政の監視機関及び意思決定機関としての役割と責任は、これまで以上に重要なものとなってきている。
このため、猪苗代町議会(以下「議会」という。)は、そのもてる権能を十分に駆使し、常に町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)と対等で緊張ある関係を維持しながら、猪苗代町民(以下「町民」という。)の代表機関として、その執行を監視するとともに、最良の政策を決定するための政策提言や政策立案を積極的に行っていかなければならない。
また、町民とともに自立、協働のまちづくりを推進するため、積極的に町民へ情報発信することによって、議会の意思決定における説明責任を果たす必要がある。
ここに、公正で透明な開かれた議会を構築するため、議会運営の基本事項を定め、議会の役割と活動の指針を明確にする。
議会及びすべての議員は、この条例に定める議会のルールを遵守し、実践することによって、町民から信頼され、存在感と活力のある議会を築くため、ここに議会運営の最高規範となる「猪苗代町議会基本条例」を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本的事項を定めることにより、分権と自治の時代にふさわしい、町民に身近な開かれた議会を基本とした行政の監視機関及び意思決定機関としての役割を果たし、もって町民の福祉向上と持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(議会の活動原則)
第二条 議会は、町民を代表する行政の監視機関及び意思決定機関であることを常に自覚し、公平性、透明性、信頼性を重んじた町民に開かれた議会を目指して活動する。
2 議会は、町民全体の立場に立って、行政の執行状況を監視、評価するとともに、町民の福祉向上と持続的で豊かなまちづくりの実現のために政策提言及び政策立案の強化に取り組むものとする。
3 議会は、町民とともにまちづくりの活動を推進するため、町民に必要な情報を提供し、その多様な意見を反映させることにより、町民参加と協働を基軸にした議会運営に努めなければならない。
4 議会は、議会の信頼性を高めるため、不断の改革に努めるものとする。
(議員の活動原則)
第三条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を尊重するとともに、会議における発言は簡明に行わなければならない。
2 議員は、町政全般について、その課題並びに町民の意見及び要望を的確に把握するとともに、不断の努力によって自らの資質を高め、町民の負託に応える活動をするものとする。
3 議員は、個別的な事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動するものとする。
(議員の政治倫理)
第四条 議員は、町民全体の奉仕者として公正、誠実かつ清廉に活動することにより、主権者である町民の負託に応えるものとする。
(町民参加及び町民との連携)
第五条 議会は、次に掲げる事項に留意し、町民の議会活動への参加を推進するものとする。
一 議会の委員会その他の会議を原則として公開すること。
二 積極的な情報の公開及び提供に努めること。
2 議会は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。以下「法」という。)で定める委員会等のほか、町民及び議員が自由に意見及び情報を交換するため、一般会議を置くことができる。
3 議会は、町民から請願及び陳情が提出されたときは、これを町民の政策提案と受け止め、必要に応じて町民の意見を聴く機会を設けるものとする。
4 議会は、町民に対する議会報告会を開催して議会の説明責任を果たすとともに、町民の意見を聴取して議会の政策提言等に反映させるものとする。
5 議会は、各議員の議案の審議に対する賛否を公表するものとする。
(一般質問)
第六条 議会の本議会における議員の町長等に対する一般質問は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式により行うものとする。
(重要政策の審議等)
第七条 議会は、町長等が重要な計画、政策(以下「政策等」という。)を策定しようとするときは、議会の意見を聴くよう求めるものとする。
2 議会は、町長等が議会の議決を得るべき政策等を提案し、又は前項の規定に基づいて意見を聴こうとするときは、必要な説明資料を提出するよう求めるものとする。
3 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、立案及び執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(議会の議決事件)
第八条 法第九十六条第二項に規定する議会の議決事件の追加については、必要に応じて別に条例で定める。
(委員会の設置等)
第九条 議会は、社会経済の変化等により新たに生じる課題に迅速かつ柔軟に対応するため、委員会の設置並びに参考人及び公聴会等の制度の活用に努めるものとする。
(議会事務局の体制整備等)
第十条 議会は、議会又は議員の政策形成等の活動を支援するため、調査機関等としての議会事務局の体制を強化するよう努めなければならない。
(議員の研修等)
第十一条 議会は、議員の政策形成能力の向上等を図るため、議員の研修及び政策研究の充実に努めるものとする。
(議会広報の充実)
第十二条 議会は、町政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に町民に対し周知するように努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
(議員定数及び議員報酬)
第十三条 議員定数及び議員報酬は、別に条例で定める。
2 議会は、議員定数及び議員報酬の改正に当たり、町政の現状と課題、将来の予想と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して、広く町民の意見を聴取することに努めるものとする。
(この条例の性格等)
第十四条 この条例は、議会運営に関する最高規範であって、議会はこの条例で定める目的、原則等を実現するために必要な事項について、条例、規則等を制定し、議会運営の仕組みを体系的に整備しなければならない。
2 議会は、議会運営がこの条例の目的、原則等に即して行われているかどうかを不断に点検するものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。